今月11日未明、イラン中部ナタンズにあるウラン濃縮施設にて、送電網の一部で事故が発生しました。
イラン原子力庁のサーレヒー長官は今回の事故への反応として、このような自暴自棄的な行動を非難するともに、「ナタンズ濃縮施設に対してなされた核へのテロリズムは、原子力産業の目覚しい発展の阻止を狙った、わが国の政治・産業面の拡大に反対する勢力の失敗を物語っている」と述べています。
ザリーフ・イラン外相も12日月曜、同国国会の国家安全保障外交政策委員会の会議において、「シオニスト政権イスラエルの軍・政治当局者は、圧政的な対イラン制裁の解除プロセスを進展させないと大見得を切り、今や自らの目的が達成されるなどと思い込んでいる」とし、「シオニストは、イランの原子力産業のさらなる発展という形で、自分の行いの結果を見せつけられるだろう」と語りました。
今回事故のあったナタンズ核施設は、過去にもアメリカとイスラエルの共謀によるサイバー攻撃を受けた経歴があります。これらの攻撃の歴史は、2006年のブッシュ政権時代にさかのぼるとともに、その後のオバマ政権時代にも繰り返されています。またこうした妨害工作の経歴には、2015年のオーストリア・ウィーンで開催された5カ国とイランによる核交渉の実施時期におけるマルウェア・Duquの使用、そしてイラン核施設に対するコンピュータウイルスのスタックスネットやフレームを使用してのイランの核施設へ攻撃が挙げられます。
国際法の視点から、そしてIAEA国際原子力機関の決議や核施設の安全に関する必須事項に基づけば、各国の核施設へのサイバー攻撃や破壊行為は禁じられています。
しかし、破壊行為者であるシオニスト政権イスラエルは、テロリストという自らの同盟者の支援を得て、地域に危機を生じさせようとしています。このため、シオニスト占領者政権の当局者は、自らの国家テロ活動という枠組みにより卑劣な破壊活動を組織化していることは、決して驚くには値しません。サイバー攻撃は他の組織が代理的に行うこともでき、その場合は直接的に責任をかぶる必要もありません。おそらくはこうした理由で、イスラエルは攻撃の責任を回避するために、自分側の要員を通じて標的に対するサイバー攻撃を行っていると思われます。もっとも、イスラエルの侵略行為には明らかにされた部分も多く存在しています。1981年に行われたイスラエルによるイラク核施設への攻撃は、国連憲章内の条文への違反および他国への侵略行為であるとされた事例のひとつに挙げられます。国連安保理は決議487を採択し、イラク核施設に対するイスラエルの攻撃を国連憲章への違反として非難する声明を発表した後、イスラエルに対し破壊行為や侵略を止めるよう求めています。そもそも、イスラエルはその存在自体がテロ行為に依存した政権ですが、依然として国際法への違反や破壊活動に手を染めています。度重なるシリアへの空爆、イスラエルの諜報機関モサドと地域で著名なテロ組織との協力、そして、ディモナ原発で自らが行う通常の範囲を超える核活動、各種の核へのテロのような破壊活動の継続などはすべて、地域におけるイスラエルの危険な侵略的アプローチを示すものだと言えます。
いずれにせよ、国際条約に基づけば、IAEAの監視下にある核施設に対する破壊行為はすべて、国連憲章やIAEA規約への違反、そして核の安全の分野での国際的な義務事項に相反する行為とみなされます。こうした原則の強調により、サーレヒー長官はこうした原則を重視し、核へのテロに対するIAEAと国際社会の対処の必要性を強調し、「イランはこの事故の実行犯や首謀者に対する処置を決行する権利を留保する」と表明しています。